みにくいアヒルの子 | 本のプレビュー | Little Reading
みにくいアヒルの子

みにくいアヒルの子

まわりとちがうアヒルの子が、自分が美しい白鳥(はくちょう)だったと気づくまでの感動(かんどう)の物語(ものがたり)。

年齢
5-10


5540

著者
Hans Christian Andersen

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1. 農場(のうじょう)にて 🚜

田舎(いなか)の、ある晴(は)れた農場(のうじょう)で、

お母(かあ)さんアヒルが巣(す)に座(すわ)っていました。

もう何日(なんにち)も座(すわ)っていました。

おなかの下(した)には、6つの白(しろ)いタマゴがありました。

生(う)まれてくるのを待(ま)っていたのです。

「いつ赤(あか)ちゃんたちは出(で)てくるのかしら?」と、お母(かあ)さんは思(おも)いました。

お母(かあ)さんはじっと動(うご)かずに、タマゴを温(あたた)めました。

他(ほか)の動物(どうぶつ)たちが巣(す)のそばを通(とお)りました。

「もうすぐだよ!」と、メンドリが言(い)いました。

お母(かあ)さんアヒルはうなずいて、ニッコリしました。

2. タマゴがかえる 🥚

ある朝(あさ)、お母(かあ)さんアヒルは物音(ものおと)を聞(き)きました。

パリッ! パリッ! パリッ!

タマゴが割(わ)れ始(はじ)めたのです!

ひとつ、またひとつと、小(ちい)さなアヒルの子(こ)たちが出(で)てきました。

黄色(きいろ)くてフワフワしていました!

「ピヨ! ピヨ! ピヨ!」と、子(こ)どもたちは鳴(な)きました。

お母(かあ)さんアヒルは誇(ほこ)らしげに数(かぞ)えました。

「1、2、3、4、5!」

でも待(ま)って! タマゴがひとつ残(のこ)っています。

他(ほか)のタマゴよりも大(おお)きなタマゴです。

まだ割(わ)れていませんでした!

「変(へん)ねえ」と、お母(かあ)さんアヒルは言(い)いました。

「このタマゴはずいぶん大(おお)きくて灰色(はいいろ)だわ!

こんなのあったかしら?」

お母(かあ)さんはまた、その大(おお)きなタマゴの上(うえ)に座(すわ)りました。

そして、もっと待(ま)つことにしました。

3. 変(か)わったアヒルの子(こ) 🐣

ついに、大(おお)きなタマゴが割(わ)れました!

中(なか)からアヒルの子(こ)が出(で)てきました。

でも、他(ほか)の子(こ)たちとは似(に)ていませんでした。

体(からだ)が大(おお)きくて、灰色(はいいろ)をしていました。

羽(はね)も黄色(きいろ)くてフワフワではありませんでした。

「あらまあ!」と、お母(かあ)さんアヒルは言(い)いました。

「兄弟(きょうだい)たちとはぜんぜん似(に)ていないわね!

でも、あなたも私(わたし)の赤(あか)ちゃんよ」

お母(かあ)さんはくちばしで、優(やさ)しくなでてあげました。

灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)は、うれしそうに鳴(な)きました。

4. はじめての水泳(すいえい) 🏊

「おいで、みんな!」お母(かあ)さんアヒルが言(い)いました。

「初(はじ)めての水泳(すいえい)の時間(じかん)よ!」

お母(かあ)さんはみんなを池(いけ)に連(つ)れていきました。

黄色(きいろ)いアヒルの子(こ)たちは、次々(つぎつぎ)に飛(と)び込(こ)みました。

バシャン! バシャン! バシャン!

みんな上手(じょうず)に泳(およ)ぎました!

灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)も飛(と)び込(こ)みました。

なんと、他(ほか)の子(こ)たちよりも上手(じょうず)に泳(およ)いだのです!

「まあ」と、お母(かあ)さんアヒルは言(い)いました。

「見(み)た目(め)はちがうけど、

泳(およ)ぎはチャンピオン級(きゅう)ね!」

5. 動物(どうぶつ)たちとの出会(であ)い 🐔

お母(かあ)さんアヒルは、子(こ)どもたちを連(つ)れて農場(のうじょう)の動物(どうぶつ)たちに会(あ)いに行(い)きました。

メンドリたちが灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)を見(み)ました。

「なんてみにくいアヒルの子(こ)だ!」と、コッコッと鳴(な)きました。

「あんなに大(おお)きくて灰色(はいいろ)だなんて!

ぜんぜんアヒルに見(み)えないわ!」

オンドリが大声(おおごえ)で笑(わら)いました。

「あのおかしな鳥(とり)を見(み)てごらん!」と叫(さけ)びました。

灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)は悲(かな)しくなりました。

お母(かあ)さんの後(うし)ろに隠(かく)れようとしました。

どうしてみんな、ボクをみにくいと言(い)うんだろう?

6. ひとりぼっち 😢

何日(なんにち)も過(す)ぎました。

他(ほか)のアヒルの子(こ)たちは一緒(いっしょ)に遊(あそ)んでいました。

でも、灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)とは遊(あそ)びませんでした。

「おまえはみにくすぎるよ!」とみんな言(い)いました。

「あっち行(い)け! 仲間(なかま)に入(い)れないぞ!」

自分(じぶん)の兄弟(きょうだい)たちでさえ、いじわるでした!

くちばしでつついたりしました。

灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)は、とてもさびしい気持(きも)ちになりました。

池(いけ)のそばで、ひとりで座(すわ)っていました。

涙(なみだ)がこぼれ落(お)ちました。

「どうしてボクだけちがうんだろう?」

7. 逃(に)げ出(だ)す 🏃

ある夜(よる)、灰色(はいいろ)のアヒルの子(こ)は決心(けっしん)しました。

「ここはボクの居場所(いばしょ)じゃない」と思(おも)いました。

「みんなボクをみにくいと思(おも)ってる。

ここを出(で)て、新(あたら)しい家(いえ)を探(さが)そう」

そして、彼(かれ)は農場(のうじょう)から逃(に)げ出(だ)しました。

野原(のはら)をヨチヨチ歩(ある)いていきました。

森(もり)の中(なか)を歩(ある)きました。

世界(せかい)にたったひとりぼっちです。

こわかったけれど、歩(ある)き続(つづ)けました。

「どこかに友(とも)だちがいるはずだ」と願(ねが)いながら。

8. 野生(やせい)のカモたち 🦆

アヒルの子(こ)は沼地(ぬまち)にやってきました。

そこには野生(やせい)のカモたちが住(す)んでいました。

「こんにちは!」アヒルの子(こ)は希望(きぼう)を持(も)って言(い)いました。

「ここにいてもいいですか?」

カモたちは彼(かれ)を見(み)ました。

「おまえ、いままで見(み)たことない変(へん)なアヒルだな!」とカモたちは言(い)いました。

「まあ、いたければいてもいいよ。

ただし、おれたちの邪魔(じゃま)はするなよ!」

アヒルの子(こ)は、休(やす)む場所(ばしょ)ができてホッとしました。

でも、カモたちはあまり親切(しんせつ)ではありませんでした。

9. 秋(あき)の日(ひ) 🍂

秋(あき)になり、だんだん寒(さむ)くなってきました。

葉(は)っぱが赤(あか)や金色(きんいろ)に変(か)わりました。

木(き)から葉(は)が落(お)ちてきました。

アヒルの子(こ)は冷(つめ)たい風(かぜ)に震(ふる)えました。

暖(あたた)かく眠(ねむ)れる場所(ばしょ)がありませんでした。

ある夕方(ゆうがた)、美(うつく)しい鳥(とり)たちが空(そら)を飛(と)んでいるのを見(み)ました。

真(ま)っ白(しろ)で、首(くび)が長(なが)い鳥(とり)たちです!

翼(つばさ)を優雅(ゆうが)に広(ひろ)げていました。

「あれは白鳥(はくちょう)だよ」と、年寄(としよ)りのカエルが言(い)いました。

アヒルの子(こ)は、飛(と)んでいく鳥(とり)たちを見送(みおく)りました。

「なんてきれいなんだろう」とため息(いき)をつきました。

「あんなふうになれたらなあ」

10. きびしい冬(ふゆ) ❄️

冬(ふゆ)が来(き)て、とても寒(さむ)くなりました。

雪(ゆき)が地面(じめん)を覆(おお)いました。

池(いけ)には氷(こおり)が張(は)りました。

アヒルの子(こ)には行(い)くところがありません。

寒(さむ)くて、お腹(なか)がすいて、ひとりぼっちでした。

ある日(ひ)、彼(かれ)は氷(こおり)の上(うえ)で眠(ねむ)ってしまいました。

足(あし)が凍(こお)った池(いけ)にくっついてしまったのです!

動(うご)けなくなってしまいました!

「もうおしまいだ」と悲(かな)しく思(おも)いました。

「ひとりで凍(こお)え死(し)ぬんだ」

でも、親切(しんせつ)なお百姓(ひゃくしょう)さんが見(み)つけてくれました!

お百姓(ひゃくしょう)さんは、気(き)をつけて氷(こおり)を割(わ)ってくれました。

そしてアヒルの子(こ)を優(やさ)しく抱(だ)き上(あ)げました。

「かわいそうに!」とお百姓(ひゃくしょう)さんは言(い)いました。

「家(いえ)においで、暖(あたた)かいから」

お百姓(ひゃくしょう)さんが命(いのち)を助(たす)けてくれたのです!

11. お百姓(ひゃくしょう)さんの家(いえ) 🏡

お百姓(ひゃくしょう)さんはアヒルの子(こ)を家(いえ)に連(つ)れて帰(かえ)りました。

子(こ)どもたちが一緒(いっしょ)に遊(あそ)びたがりました。

でも、乱暴(らんぼう)すぎました!

アヒルの子(こ)を追(お)いかけ回(まわ)したのです。

アヒルの子(こ)はこわくなって逃(に)げました!

ミルクの入(はい)ったツボを倒(たお)してしまいました!

ガシャーン! ミルクがこぼれました!

お百姓(ひゃくしょう)さんの奥(おく)さんが悲鳴(ひめい)をあげました!

アヒルの子(こ)は小麦粉(こむぎこ)の袋(ふくろ)に飛(と)び込(こ)んでしまいました!

体(からだ)じゅう、白(しろ)い粉(こな)だらけです!

アヒルの子(こ)はドアから逃(に)げ出(だ)しました!

また寒(さむ)い森(もり)へと戻(もど)っていきました。

ひとりの方(ほう)が安全(あんぜん)だと思(おも)ったのです。

眠(ねむ)れそうな小(ちい)さな洞窟(どうくつ)を見(み)つけました。

冬(ふゆ)はとても長(なが)く、さびしいものでした。

12. 春(はる)が来(き)た 🌸

ついに冬(ふゆ)が終(お)わりました!

春(はる)が来(き)て、暖(あたた)かい日差(ひざ)しが戻(もど)ってきました!

あちこちに花(はな)が咲(さ)きました。

鳥(とり)たちが楽(たの)しそうに歌(うた)っています。

アヒルの子(こ)は、羽(はね)に暖(あたた)かいお日(ひ)さまを感(かん)じました。

「まだ生(い)きてる」と、不思議(ふしぎ)な気持(きも)ちになりました。

「冬(ふゆ)を乗(の)り越(こ)えられたんだ!」

彼(かれ)は翼(つばさ)を広(ひろ)げました。

前(まえ)よりも大(おお)きく、強(つよ)くなっているような気(き)がしました!

何度(なんど)か羽(は)ばたいてみました。

アヒルの子(こ)は池(いけ)まで歩(ある)いていきました。

美(うつく)しい白鳥(はくちょう)たちが泳(およ)いでいました!

秋(あき)に見(み)たのと同(おな)じ鳥(とり)たちです!

どんなにきれいだったか覚(おぼ)えていました。

「きっとボクのことを見(み)て笑(わら)うだろうな」と思(おも)いました。

13. びっくり! 😲

「でももう気(き)にしない」とアヒルの子(こ)は言(い)いました。

「ずっとひとりぼっちでいるより、

あの人(ひと)たちのそばに行(い)って、笑(わら)われる方(ほう)がいい!」

彼(かれ)は優雅(ゆうが)な白鳥(はくちょう)たちのほうへ泳(およ)いでいきました。

そして頭(あたま)を低(ひく)く下(さ)げました。

「好(す)きなようにしてください」と彼(かれ)は言(い)いました。

「自分(じぶん)がみにくいことはわかっています。

追(お)い払(はら)いたければそうしてください」

でも、白鳥(はくちょう)たちは彼(かれ)に近(ちか)づいてきました!

「こんにちは、かわいい白鳥(はくちょう)さん!」と言(い)いました。

「仲間(なかま)に入(はい)りなよ!」

かわいい白鳥(はくちょう)?

アヒルの子(こ)は混乱(こんらん)しました!

水面(すいめん)を見(み)ました。

そこには自分(じぶん)の姿(すがた)が映(うつ)っていました。

自分(じぶん)の目(め)が信(しん)じられませんでした!

14. 美(うつく)しい白鳥(はくちょう) 🦢

もう灰色(はいいろ)ではありませんでした!

もうみにくくありませんでした!

真(ま)っ白(しろ)な羽(はね)をしていました!

長(なが)くて優雅(ゆうが)な首(くび)をしていました!

彼(かれ)は美(うつく)しい白鳥(はくちょう)だったのです!

「ボクはアヒルの子(こ)なんかじゃなかったんだ!」彼(かれ)は気(き)づきました。

「ずっと白鳥(はくちょう)の赤(あか)ちゃんだったんだ!

だからみんなとちがっていたんだ!」

心(こころ)が喜(よろこ)びでいっぱいにまりました!

ついに自分(じぶん)の居場所(いばしょ)を見(み)つけたのです!

15. 本当(ほんとう)の幸(しあわ)せ 💖

他(ほか)の白鳥(はくちょう)たちは、温(あたた)かく迎(むか)えてくれました。

「君(きみ)は今(いま)まで見(み)た中(なか)でいちばん美(うつく)しい白鳥(はくちょう)だよ!」と言(い)ってくれました。

白鳥(はくちょう)は、これまでで一番(いちばん)幸(しあわ)せでした!

みにくくなんてなかったのです!

変(へん)じゃなかったのです!

これこそが、本当(ほんとう)の自分(じぶん)だったのです!

その日(ひ)、子(こ)どもたちが池(いけ)にやってきました。

「見(み)て!」と、うれしそうに叫(さけ)びました。

「新(あたら)しい白鳥(はくちょう)がいる! しかもあの子(こ)がいちばんきれいだ!」

子(こ)どもたちはパンを投(な)げてくれました。

白鳥(はくちょう)は、これまで旅(たび)してきたことを思(おも)い出(だ)しました。

16. ハッピーエンド 🌈

白鳥(はくちょう)は池(いけ)を優雅(ゆうが)に泳(およ)ぎました。

美(うつく)しい白(しろ)い翼(つばさ)を広(ひろ)げました。

お日(ひ)さまが羽(はね)を照(て)らしました。

生(う)まれた農場(のうじょう)のことを考(かんが)えました。

いじわるだった動物(どうぶつ)たちのことを考(かんが)えました。

「みんなボクをみにくいと言(い)った」と彼(かれ)は思(おも)い出(だ)しました。

「でも、ボクはみにくくなんてなかった。

ただ白鳥(はくちょう)だったから、ちがっていただけなんだ!

他(ほか)の人(ひと)がどう思(おも)うかは関係(かんけい)ない。

大事(だいじ)なのは、本当(ほんとう)の自分(じぶん)でいることだ」

白鳥(はくちょう)は、白鳥(はくちょう)の家族(かぞく)と幸(しあわ)せに暮(く)らしました。

毎日(まいにち)きれいな池(いけ)で泳(およ)ぎました。

友(とも)だちと空(そら)を飛(と)びました。

もう二度(にど)とひとりぼっちにはなりませんでした。

そして二度(にど)と、みにくいなんて呼(よ)ばれませんでした!

彼(かれ)はつらい時(とき)を過(す)ごしてきました。

でもそのつらい経験(けいけん)が、彼(かれ)を強(つよ)くしました。

今(いま)、彼(かれ)は本当(ほんとう)の自分(じぶん)を知(し)りました。

それが一番(いちばん)すばらしいことでした。

白鳥(はくちょう)は、いつまでも幸(しあわ)せに暮(く)らしました!