にんぎょひめ | 本のプレビュー | Little Reading
にんぎょひめ

にんぎょひめ

にんげんのせかいにあこがれ、あいのためにゆうかんなぎせいをはらった、わかい人魚(にんぎょ)のアンデルセン童話(どうわ)。

年齢
7-12


7515

著者
Hans Christian Andersen

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1. 海(うみ)の底(そこ)で 🌊

ずっと遠(とお)くの海(うみ)の、とても深(ふか)いところ。

そこには、海(うみ)の王(おう)さまのお城(しろ)がありました。

お城(しろ)はサンゴと真珠(しんじゅ)でできていました。

かべは、真珠貝(しんじゅがい)のようにキラキラとかがやいていました。

それは海(うみ)のなかで、いちばんきれいな場所(ばしょ)でした。

海(うみ)の王(おう)さまは、奥(おく)さんをなくしていました。

王(おう)さまのお母(かあ)さんが、お城(しろ)の世話(せわ)をしていました。

王(おう)さまには、6人(にん)の人魚(にんぎょ)の娘(むすめ)たちがいました。

みんなとてもきれいでした。

でも、いちばん下(した)の妹(いもうと)が、だれよりもきれいでした。

にんぎょひめは、すてきな声(こえ)をしていました。

歌(うた)うことが何(なに)よりも大好(だいす)きでした。

彼女(かのじょ)は自分(じぶん)だけの小(ちい)さな庭(にわ)をもっていました。

それはお日(ひ)さまのように丸(まる)い庭(にわ)でした。

彼女(かのじょ)はそこに、赤(あか)い花(はな)だけを植(う)えました。

でも、彼女(かのじょ)がいちばん好(す)きだったのは、海(うみ)の上(うえ)の世界(せかい)の話(はなし)を聞(き)くことでした!

おばあさんが、物語(ものがたり)を話(はな)してくれました。

船(ふね)や町(まち)の話(はなし)!

陸(りく)に住(す)む人(ひと)びとの話(はなし)!

甘(あま)いにおいのする花(はな)の話(はなし)!

2. 15さいの誕生日(たんじょうび) 🎂

「15さいになったらね」と、おばあさんは言(い)いました。

「海(うみ)の水面(すいめん)まで上(あ)がってもいいよ。

月(つき)明(あ)かりの下(した)で岩(いわ)に座(すわ)ったり、

船(ふね)が通(とお)るのを見(み)たり、

陸(りく)や町(まち)を見(み)たりしてもいいんだよ!」

にんぎょひめは、ワクワクして待(ま)っていました!

お姉(ねえ)さんたちがひとりずつ、15さいになりました。

ひとりずつ、海(うみ)の上(うえ)へ行(い)きました。

みんな、すばらしいお話(はなし)を持(も)って帰(かえ)ってきました!

でも、いちばん下(した)の妹(いもうと)は、自分(じぶん)の番(ばん)を待(ま)たなければなりませんでした。

ついに、15さいの誕生日(たんじょうび)がやってきました!

「さあ、行(い)っておいで」と、おばあさんは言(い)いました。

おばあさんは、姫(ひめ)の髪(かみ)に白(しろ)いユリの花(はな)をかざりました。

「気(き)をつけるんだよ」と、おばあさんは言(い)いました。

「上(うえ)の世界(せかい)は、あぶないこともあるからね!」

にんぎょひめは、水(みず)の中(なか)を上(あ)がっていきました。

上(うえ)へ、上(うえ)へと泳(およ)ぎました!

水(みず)はだんだん明(あか)るくなっていきました!

ついに、頭(あたま)が水面(すいめん)から出(で)ました!

はじめて空(そら)を見(み)たのです!

3. 王子(おうじ)さま 🤴

太陽(たいよう)が美(うつく)しく沈(しず)んでいくところでした。

雲(くも)はピンク色(いろ)と金色(きんいろ)にかがやいていました。

大(おお)きな船(ふね)が近(ちか)くを通(とお)りました。

船(ふね)からは音楽(おんがく)と歌声(うたごえ)が聞(き)こえてきました。

にんぎょひめは、近(ちか)づいていきました。

彼女(かのじょ)は窓(まど)から中(なか)をのぞきました。

立派(りっぱ)な服(ふく)を着(き)た人(ひと)たちがたくさんいました!

いちばんハンサムだったのは、若(わか)い王子(おうじ)さまでした!

きょうは王子(おうじ)さまの16さいの誕生日(たんじょうび)だったのです!

みんなでお祝(いわ)いをしていました!

にんぎょひめは、目(め)をそらすことができませんでした。

王子(おうじ)さまはとてもハンサムで、優(やさ)しそうでした!

みんなに微笑(ほほえ)みかけていました!

笑(わら)ったり、踊(おど)ったりしていました!

見(み)ているだけで、にんぎょひめの胸(むね)はドキドキしました。

夜(よる)遅(おそ)くになって、おそろしい嵐(あらし)が始(はじ)まりました!

稲妻(いなずま)がピカッ!

カミナリがドーン!

大(おお)きな波(なみ)が船(ふね)をゆらしました!

にんぎょひめは、こわくて見(み)ていられませんでした!

船(ふね)が沈(しず)み始(はじ)めました!

人(ひと)びとが水(みず)の中(なか)へ飛(と)び込(こ)みました!

王子(おうじ)さまも海(うみ)に落(お)ちてしまいました!

王子(おうじ)さまは泳(およ)げません!

おぼれてしまいます!

4. 救出(きゅうしゅつ) 🏥

にんぎょひめは、深(ふか)くもぐりました!

こわれた船(ふね)の間(あいだ)を泳(およ)ぎぬけました!

沈(しず)んでいく王子(おうじ)さまを見(み)つけました!

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまをつかまえて、顔(かお)を水(みず)の上(うえ)に出(だ)してあげました!

ひとばんじゅう、王子(おうじ)さまと一緒(いっしょ)に泳(およ)ぎました!

朝(あさ)になると、嵐(あらし)は過(す)ぎ去(さ)っていました。

にんぎょひめは、前(まえ)の方(ほう)に陸(りく)を見(み)つけました。

岸(きし)まで泳(およ)いでいきました。

砂浜(すなはま)の上(うえ)に、王子(おうじ)さまを寝(ね)かせました。

王子(おうじ)さまは息(いき)をしていましたが、目(め)を閉(と)じたままでした。

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまのおでこに、そっとキスをしました。

そして泳(およ)いで離(はな)れ、岩(いわ)のかげに隠(かく)れました。

王子(おうじ)さまがどうなるか、見(み)ていたかったのです。

すぐに、若(わか)い女(おんな)の子(こ)が歩(ある)いてきました。

女(おんな)の子(こ)は王子(おうじ)さまを見(み)つけて、助(たす)けを呼(よ)びました!

人(ひと)びとが走(はし)ってきました!

みんなで王子(おうじ)さまを運(はこ)んでいきました!

王子(おうじ)さまは目(め)を開(あ)けました。

でも、にんぎょひめは見(み)えませんでした!

王子(おうじ)さまは、その若(わか)い女(おんな)の子(こ)が助(たす)けてくれたのだと思(おも)ったのです!

にんぎょひめは悲(かな)しくなりました。

海(うみ)の中(なか)へもどっていきました。

でも、王子(おうじ)さまのことが忘(わす)れられません!

心(こころ)から王子(おうじ)さまを愛(あい)していたのです!

何(なに)よりも、人間(にんげん)になりたいと思(おも)いました!

5. 海(うみ)の魔女(まじょ) 🧙‍♀️

にんぎょひめは、毎日(まいにち)どんどん悲(かな)しくなっていきました。

考(かんが)えるのは王子(おうじ)さまのことばかり!

とうとう、お姉(ねえ)さんたちに話(はな)しました。

「気(き)でもちがったの!」と、お姉(ねえ)さんたちは言(い)いました。

「人間(にんげん)は海(うみ)の中(なか)じゃ暮(く)らせないのよ!」

でも、ひとりのお姉(ねえ)さんが、助(たす)けてくれそうな人(ひと)を知(し)っていました。

「海(うみ)の魔女(まじょ)がいるわ」と、そのお姉(ねえ)さんは言(い)いました。

「魔女(まじょ)はこわい場所(ばしょ)に住(す)んでいるの。

もしかしたら、力(ちから)になってくれるかもしれない。

でも気(き)をつけて! 魔女(まじょ)はあぶないやつだから!」

にんぎょひめは、魔女(まじょ)の家(いえ)へと泳(およ)いでいきました。

そこは暗(くら)くて、気味(きみ)の悪(わる)い場所(ばしょ)でした!

変(へん)な生(い)き物(もの)たちが住(す)んでいました!

海(うみ)の魔女(まじょ)は、骨(ほね)でできたイスに座(すわ)っていました!

ペットのウナギを体(からだ)に巻(ま)きつけていました!

「おまえが何(なに)をしに来(き)たかはわかっているよ」と、魔女(まじょ)は言(い)いました。

「足(あし)がほしいんだろう?

人間(にんげん)になりたいんだろう!

王子(おうじ)に愛(あい)されたいんだろう!

助(たす)けてやってもいいが……代償(だいしょう)をもらうよ!」

6. おそろしい代償(だいしょう) 💔

「薬(くすり)を作(つく)ってやろう」と、魔女(まじょ)は言(い)いました。

「それを飲(の)めば、足(あし)が生(は)える!

だが歩(ある)くたびに、ナイフの上(うえ)を歩(ある)くような痛(いた)みが走(はし)るぞ!

二度(にど)と人魚(にんぎょ)のしっぽにはもどれない!

それに、もし王子(おうじ)が他(ほか)の娘(むすめ)と結婚(けっこん)したら、おまえは死(し)んでしまうんだ!」

にんぎょひめはこわくなりました。

それでも、どうしても人間(にんげん)になりたかったのです!

「代償(だいしょう)は何(なに)?」と、彼女(かのじょ)は勇気(ゆうき)を出(だ)して聞(き)きました。

魔女(まじょ)はニヤリと笑(わら)いました。

「おまえの声(こえ)さ!」

「おまえは、海(うみ)でいちばんきれいな声(こえ)をしているじゃないか!

それを私(わたし)におくれ!

二度(にど)としゃべることも、歌(うた)うこともできなくなる!

だが、足(あし)は手(て)に入(はい)るぞ!

どうする?」

にんぎょひめは、王子(おうじ)さまのことを考(かんが)えました。

陸(りく)の上(うえ)を歩(ある)くことを考(かんが)えました。

人間(にんげん)になることを考(かんが)えました。

「はい」と、彼女(かのじょ)は悲(かな)しそうに言(い)いました。

「わかりました」

7. 人間(にんげん)になる 🚶‍♀️

魔女(まじょ)は薬(くすり)を作(つく)りました。

それは緑色(みどりいろ)で、ブクブクと泡(あわ)立(だ)っていました!

「日(ひ)が昇(のぼ)る前(まえ)に飲(の)むんだよ!」と、魔女(まじょ)は言(い)いました。

にんぎょひめはビンを受(う)け取(と)りました。

そして急(いそ)いで水面(すいめん)へと泳(およ)ぎました。

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまのお城(しろ)まで泳(およ)ぎました。

砂浜(すなはま)に座(すわ)りました。

そして、薬(くすり)を飲(の)みました!

火(ひ)のように焼(や)けるような味(あじ)がしました!

彼女(かのじょ)は痛(いた)みのあまり、気(き)を失(うしな)ってしまいました!

目(め)が覚(さ)めると、太陽(たいよう)が昇(のぼ)っていました。

王子(おうじ)さまが、彼女(かのじょ)を見下(みお)ろして立(た)っていました!

「だいじょうぶ?」と、王子(おうじ)さまは優(やさ)しく聞(き)きました。

彼女(かのじょ)は自分(じぶん)の体(からだ)を見(み)ました。

足(あし)がありました! きれいな人間(にんげん)の足(あし)です!

でも、話(はな)そうとすると……

声(こえ)が出(で)ません!

声(こえ)を失(うしな)ってしまったのです!

自分(じぶん)がだれなのか、伝(つた)えることができません!

自分(じぶん)が助(たす)けたのだと、言(い)うことができません!

王子(おうじ)さまは、彼女(かのじょ)が立(た)つのを助(たす)けてくれました。

一歩(いっぽ)あるくごとに、ひどく痛(いた)みました!

まるで鋭(するど)いナイフの上(うえ)を歩(ある)いているようでした!

でも、彼女(かのじょ)は泣(な)きませんでした。

勇気(ゆうき)を出(だ)してニッコリ笑(わら)い、王子(おうじ)さまと一緒(いっしょ)に歩(ある)きました。

8. お城(しろ)での暮(く)らし 👗

王子(おうじ)さまは、彼女(かのじょ)をお城(しろ)へ連(つ)れていきました。

きれいな服(ふく)をくれました。

とても親切(しんせつ)にしてくれました。

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまのお友(とも)だちになりました。

どこへ行(い)くのも一緒(いっしょ)でした。

にんぎょひめは、そばにいられて幸(しあわ)せでした!

歩(ある)くたびに痛(いた)くても!

声(こえ)が出(で)なくても!

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまのために、優雅(ゆうが)に踊(おど)りました!

一緒(いっしょ)に庭(にわ)を散歩(さんぽ)しました!

でも、王子(おうじ)さまは別(べつ)の人(ひと)を愛(あい)していました!

自分(じぶん)を助(たす)けてくれたと思(おも)っている、あの女(おんな)の子(こ)が好(す)きだったのです!

「浜辺(はまべ)で美(うつく)しい女(おんな)の子(こ)が僕(ぼく)を見(み)つけてくれたんだ」と、王子(おうじ)さまは言(い)いました。

「彼女(かのじょ)が命(いのち)の恩人(おんじん)なんだ!

彼女(かのじょ)と結婚(けっこん)したいんだ!」

にんぎょひめの心(こころ)は砕(くだ)け散(ち)りそうでした!

「それは私(わたし)よ! 私(わたし)が助(たす)けたのよ!」と言(い)いたかった!

でも、声(こえ)が出(で)ません!

ただ黙(だま)って聞(き)いているしかありませんでした!

目(め)に涙(なみだ)があふれました!

9. 結婚式(けっこんしき) 💒

ある日(ひ)、王子(おうじ)さまに知(し)らせが届(とど)きました。

隣(となり)の国(くに)からお姫(ひめ)さまが来(く)るというのです!

お姫(ひめ)さまのお父(とう)さんが、王子(おうじ)さまとの結婚(けっこん)を望(のぞ)んでいたのです!

「僕(ぼく)は結婚(けっこん)しないよ」と、王子(おうじ)さまは言(い)いました。

「僕(ぼく)は、命(いのち)の恩人(おんじん)のあの女(おんな)の子(こ)を愛(あい)しているんだから!」

ところが、お姫(ひめ)さまが到着(とうちゃく)したとき……

王子(おうじ)さまはビックリして見(み)つめました!

そのお姫(ひめ)さまこそ、あの浜辺(はまべ)の女(おんな)の子(こ)だったのです!

あの日(ひ)、たまたま浜辺(はまべ)に来(き)ていたのでした!

本当(ほんとう)に彼女(かのじょ)だったのです!

「君(きみ)が助(たす)けてくれたんだね!」王子(おうじ)さまは喜(よろこ)んで叫(さけ)びました!

「これで君(きみ)と結婚(けっこん)できる!」

お姫(ひめ)さまもニッコリ笑(わら)って、うなずきました!

にんぎょひめは、心(こころ)が粉々(こなごな)になるのを感(かん)じました!

それでも悲(かな)しげに微笑(ほほえ)んで、二人(ふたり)を祝福(しゅくふく)しました!

船(ふね)の上(うえ)で、盛大(せいだい)な結婚式(けっこんしき)が行(おこな)われました!

にんぎょひめは、きれいな絹(きぬ)のドレスを着(き)ました!

結婚式(けっこんしき)で踊(おど)りました!

一歩(いっぽ)動(うご)くたびに、ナイフのような痛(いた)みが走(はし)ります!

それでも痛(いた)みを隠(かく)して、笑顔(えがお)を見(み)せました!

10. 選択(せんたく) 🌅

その夜(よる)、にんぎょひめはデッキに立(た)っていました。

星(ほし)を見上(みあ)げていました。

日(ひ)が昇(のぼ)れば、自分(じぶん)は死(し)んでしまうとわかっていました!

海(うみ)の泡(あわ)になって消(き)えてしまうのです!

王子(おうじ)さまを失(うしな)ってしまったのです!

突然(とつぜん)、海(うみ)からお姉(ねえ)さんたちが現(あらわ)れました!

きれいな髪(かみ)がありません!

みんな、バッサリと切(き)ってしまったのです!

「髪の毛(かみのけ)を魔女(まじょ)にあげたの!」と、お姉(ねえ)さんたちは叫(さけ)びました。

「かわりに、この短剣(たんけん)をもらったわ!」

「日(ひ)が昇(のぼ)る前(まえ)に、王子(おうじ)を殺(ころ)すの!

その血(ち)を足(あし)に浴(あ)びるのよ!

そうすれば、また人魚(にんぎょ)にもどれるわ!

生(い)きられるのよ!

お願(ねが)い、自分(じぶん)を助(たす)けて!」

にんぎょひめは短剣(たんけん)を受(う)け取(と)りました。

王子(おうじ)さまが眠(ねむ)っているところへ行(い)きました。

新(あたら)しいお嫁(よめ)さんの隣(となり)で、とても安(やす)らかに眠(ねむ)っています!

にんぎょひめは短剣(たんけん)を振(ふ)り上(あ)げました!

でも……できませんでした!

彼女(かのじょ)は王子(おうじ)さまを愛(あい)しすぎていたのです!

傷(きず)つけることなんてできません!

たとえ自分(じぶん)が死(し)ぬことになっても!

彼女(かのじょ)は短剣(たんけん)を海(うみ)へ投(な)げ捨(す)てました!

そして自分(じぶん)も、海(うみ)の中(なか)へ身(み)を投(な)げました!

11. 変身(へんしん)

太陽(たいよう)が昇(のぼ)ると、体(からだ)が溶(と)けていくのを感(かん)じました。

でも、泡(あわ)にはなりませんでした!

かわりに、体(からだ)が浮(う)かび上(あ)がるのを感(かん)じました!

彼女(かのじょ)は空気(くうき)の精(せい)になったのです!

透明(とうめい)で、とても美(うつく)しい姿(すがた)でした!

他(ほか)の精霊(せいれい)たちが集(あつ)まってきました!

「ようこそ、空気(くうき)の娘(むすめ)よ!」と、みんなが言(い)いました。

「あなたには魂(たましい)がなかったけれど、良(よ)い行(おこな)いをして魂(たましい)を手(て)に入(い)れたのよ!

人魚(にんぎょ)には魂(たましい)がないけれど、あなたは愛(あい)のために自分(じぶん)を犠牲(ぎせい)にしたわ!

これからは天国(てんごく)へ行(い)くための働(はたら)きをするのよ!」

にんぎょひめは、下(した)の船(ふね)を見下(みお)ろしました。

王子(おうじ)さまが悲(かな)しそうに海(うみ)を見(み)ていました。

彼女(かのじょ)が海(うみ)に落(お)ちたのだと思(おも)っているのです!

「私(わたし)はここよ、元気(げんき)よ!」と伝(つた)えたかった!

でも、できませんでした!

彼女(かのじょ)は空(そら)高(たか)くのぼっていきました!

空気(くうき)の娘(むすめ)たちの仲間(なかま)に入(はい)りました!

「300年(ねん)のあいだ、良(よ)いことをするの」と、みんなが教(おし)えてくれました。

「そうすれば、永遠(えいえん)の魂(たましい)がもらえるわ!

世界中(せかいじゅう)を飛(と)びまわって、人(ひと)びとを助(たす)けるのよ!」

にんぎょひめはニッコリ笑(わら)いました。

王子(おうじ)さまとは結(むす)ばれませんでした。

でも、もっとすばらしいものを手(て)に入(い)れたのです!

真実(しんじつ)の愛(あい)と、犠牲(ぎせい)について学(まな)んだのです!

彼女(かのじょ)は雲(くも)の中(なか)へ、幸(しあわ)せな気持(きも)ちで自由(じゆう)に飛(と)んでいきました!

12. 言(い)い伝(つた)え 💫

王子(おうじ)さまは、本当(ほんとう)のことを知(し)ることはありませんでした。

でも時々(ときどき)、静(しず)かな夜(よる)に、

優(やさ)しい風(かぜ)を感(かん)じることがありました。

それは甘(あま)いメロディーを運(はこ)んでくるようでした。

そして海(うみ)のことを思(おも)い出(だ)させるのでした。

にんぎょひめは、空(そら)の上(うえ)から王子(おうじ)さまを見守(みまも)っていました。

王子(おうじ)さまと奥(おく)さんを祝福(しゅくふく)しました。

愛(あい)するすべての人(ひと)を祝福(しゅくふく)しました。

世界中(せかいじゅう)で良(よ)い行(おこな)いをしました。

良(よ)いことをするたびに、天国(てんごく)へと近(ちか)づいていくのでした。

こうして、にんぎょひめは安(やす)らぎを見(み)つけました。

思(おも)い描(えが)いていた形(かたち)とはちがいました。

王子(おうじ)さまとの結婚(けっこん)ではありませんでした。

でも、愛(あい)とは捧(ささ)げることだと知(し)ったのです。

そして優(やさ)しさは、どんなに悲(かな)しい結末(けつまつ)でも、美(うつく)しいものに変(か)えることができるのです!